'15 年夏に発売を開始して以来、プラグインハイブリッドのGTEや、パワフルかつスポーティな2.0R-ラインなど、新しい魅力を持ったモデルをその仲間に加えてきたフォルクスワーゲン・パサート/パサート ヴァリアントのラインナップに手が入れられた。今回、主眼としているのは基幹グレードの内容充実である。これを機会に、改めてパサートをじっくりとテストして、進化のポイントを確認しつつ、その高く評価されている実力を再チェックしてみることにした。試乗したのは主にセダンのTSIハイラインだが、従来のTSIコンフォートラインに代わって新たに設定されたTSIエレガンスラインにも、適宜触れていきたいと思う。
パサートについて記す際には、いつもデザインの話から始めたくなる。高いクオリティが裏打ちした造形、そして美しさは、その大きなハイライト。ご覧の通り、フォルム自体はセダン、ヴァリアントともにこれぞ正統派と呼ぶべきものだが、実車を前にするとその姿は、思わず角度を変えて、あるいはいくつかの方向から眺め回したくなる強い力を放っている。一番の見所は、やはりサイドビューだ。ドアノブを同軸上に置きながら前後に一気に通されたショルダーラインは、触れたら手が切れるんじゃないかというぐらいシャープ。その上下のパネル面の平滑さと相まって、周囲の光を取り込み印象的な表情をみせる。これを可能にしたのは、ボディ成形の圧倒的な技術力。シンプルに美しさを表現しようとするほど、クオリティが重要になる。
上縁にクロームを配した横一文字のフロントマスクは、いい意味で繊細な仕上がりだ。TSIハイライン、TSIエレガンスラインには新たにLEDヘッドライトが装備されて、確かな夜間視界を確保したのはもちろん、シャープな眼光でハイテク感を高めている。
なお、やはりLEDを使ったダークテールランプ、クロームのエアインテークフレーム、サイド&リアモールディング、ダークティンテッドガラスといった装備は、TSIハイラインだけでなく、TSIエレガンスラインにも採用。高級感が高められた。