これはフォルクスワーゲンという企業の姿勢にも通じることだと思うのですが、過去を否定することで新しいモノを生みだすのではなく、これまでやり続けてきたことの積み重ねの上に、さらにその先の新しさへと到達していく。そうした一貫性のある開発スタンスが、新しいPassatからも存分に感じられます。昨年、サルディーニャ島で初めて試乗し、そして今回、日本で乗ってみて、そうした思いをあらためて強く感じました。
欧州カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたのも、こうした開発スタンスから生みだされた「完成度の高さ」が評価されたのかもしれないですね。もちろんライバルとされるクルマにも、それぞれの魅力があります。たとえばCクラスですと、やはりそのブランド認知度の高さやクルマのポテンシャルはなかなかのものです。リセールバリューのことまで考えると、魅力的と言えるでしょう。そして3シリーズですと、やはり独自の走りの世界観のようなものが楽しめます。
そうしたなかで、あえてPassatが際立っているのは、繰り返しになるのですが、やはりその「完成度の高さ」です。これぞ、セダン。これぞ、いいクルマ。と言ってみたくなるほど、基本を徹底的に磨き上げ、進化させています。
「フォルクスワーゲン」という言葉を日本語に直訳すると「みんなのクルマ」。その名が象徴するように、新しいPassatは、欧州最高水準の性能や価値を、より多くの人たちに楽しんでもらえるクルマです。もちろん価格帯的にも、輸入車と国産車との間ぐらいに位置し、プレミアムカーとしての価値を、ベーシックな価格で、手にすることができるのです。しかも、全方位に充実した安全装備がオプション設定ではなく標準装備された上での価格ですからね。クルマとしても、コストとしても、すぐれたパフォーマンスを実現しています。